パンデミック以前の水準には程遠い
IATA(国際航空運送協会)によると2021年7月の世界の航空需要は、国際線、国内線とともに6月より明らかな回復傾向を示していることがわかりました。ただし、パンデミック以前の水準とは大きくかけ離れています。各国・地域内では、ロックダウンや緊急事態宣言、国境では入国拒否や水際対策という、「人の移動」を強力に制限してきました。これに伴う、国際市場の回復の遅れは否めません。
入国規制緩和措置で改善する国際線
2021年7月の国際線のRPK (有償旅客が搭乗して飛行した総距離=revenue passenger kilometers:有償旅客数×輸送距離) は2019年7月と比べて73.6%減だったが、6月と比べると7.3ポイント減少率が小さくなっています。
これはすべての地域でRPKが改善したためで、特に北米路線は減少率62.1%と最も少なくなっています。南北アメリカ、欧州は他の地域と比べると入国規制が緩和されていることが影響しているとのことです。
入国規制が引き続き厳格なアジア太平洋地域は厳しい数字に変わりはありません。

国内線、オーストラリアで激減
国内線のRPKの世界平均は、パンデミック前と比較すると15.6%減で、6月の22.1%減よりもさらに改善しています。
国別では、引き続きロシアが好調で、2019年同月比で28.9%増となりました。旅行意欲は高いですが、海外の人気観光地が閉鎖されているため、国内旅行のブームとなっており、夏の期間は特に海岸沿いの都市の人気が高かったです。
また、中国の国内線は、国内の規制強化で6月は一旦減りましたが、7月は上昇しています。
日本の国内線RPKは2019年比で53.9%減で、改善傾向にあり、中国、アメリカ、インド、ブラジルも減少幅は小さくなっています。
唯一、オーストラリアはデルタ株による感染拡大で厳格なロックダウン措置の影響が出て、減少幅が大きくなりました。

IATAのウィリーウォルシュ事務局長は、「7月の実績は、夏の北半球で旅行への意欲が増したことが反映されています。国内線はパンデミック前の85%まで戻ったが、国際線の方は4分の1程度に過ぎない。問題は各国の入国規制だ。国内旅行であれば人々は行きたい時に出かけられる。一方、海外旅行が回復するためには、国が自由な旅行を許可する必要がある。ワクチン接種をした旅行者については少なくとも規制を撤廃すべきだ」と話しました。
急に出現した見えない敵、新型コロナウイルス感染症に対して、各国・地域は、自国に居住する国民を守る義務がある中、「移動の自由」に関して慎重になることは十分理解できると思います。ただ、この止まったままの国際市場をどうにか少しずつでも動かしていくことが重要な課題であり、光でもあると思います。
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